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『マインドセット「やればできる! 」の研究』

原書は『MINDSET』(2006年)、翻訳版は2008年にいったんでていたが、一部の章が割愛されていた。2016年に完全翻訳版が出版されたので、当ブログでもあらためて紹介したい。著者は心理学者であるキャロル・S・ドゥエック。

読むきかっけになったのは、『マシュマロ・テスト』(ウォルター・ミシェル著、2015年)という有名な心理学の実験の本を読んでいたときに、本書が紹介されていたからだ。最近だと『超予測力:不確実な時代の先を読む10カ条』(フィリップ・E・ テトロック著、ダン・ ガードナー著、2016年。原書は『SUPERFORECASTING』2015年)でも紹介されている。

結論からいうと本当におすすめである。できる限り若いうちに読んでおきたい。変化が早く継続的な勉強が必要な世界に進む方におすすめだ。学習への取り組み方が大きくかわるだろう。

「硬直」のマインドセットVS「しなやかな」マインドセット

本書では「硬直」のマインドセットと「しなやかな」マインドセットの例がくり返しでてくる。

硬直のマインドセットな人は、人間の能力は生まれつき決まっていて、努力で変えることはできないという信念をもっている。自分が優れていることをいつも示そうとしたり、変化を脅威と感じてしまう。間違えたり、失敗したりすることを恐れる。また、実際に失敗や困難に直面したときに、自分はダメだと決めつけてしまい立ち直るのが遅くなる。いつも自分や他人を品定めしたがる。結果にこだわる。

しなやかなマインドセットの人は、根本に人は変われる、自分の能力を伸ばすことができるという信念をもっている。間違いや失敗を自分が向上するために必要なものと受け入れる。困難な場面に接しても、失敗だとか、自分はダメとは考えない。何か得られるものを見つけようとする。結果よりプロセスを大事にする。

しなやかなマインドセットの学生は、難しい問題や失敗も成長のためになるという気持ちで取り組む

実際に、中学校に進学する学生を対象に、頭の良さは生まれつきと思っているか、努力しだいで頭は良くなると思っているかを尋ねて、マインドセットを判定して、2年間にわたって成績を追跡調査をした。硬直のマインドセットな生徒は、成績が徐々に低下していったそうである。「ぼくはバカだから」「教え方がへたくそだから」が成績低下の理由であがったそうである。

硬直のマインドセットの学生にとって、小学校から中学校への以降は脅威と感じるそうである。ここで一生の自分の優劣が決まってしまうと感じてしまう。難しい問題を避けるそうである。

しなやかなマインドセットの学生は、小学校から中学校への以降を新しいことを学べる機会と感じるそうである。勉強量が増えて、難しい問題や失敗も成長のためになるという気持ちで取り組む。結果として、2年間にわたり成績が上がり続けたという。

同様の調査を高校から大学に進学した学生にもおこなっている。硬直のマインドセットの学生は、丸暗記中心の勉強法で、試験で失敗するとなかなか立ち直ることができず、この科目は苦手と思いこんでしまう。しなやかなマインドセットの学生は、点数をとることを目的とせずに、理解中心の勉強法。テストで失敗しても、次の試験に備えることができる。

努力をほめられたグループは、より学べるチャンスを求める

思春期の子供たちの実験も衝撃的だ。難しい知能検査を10題とかせたあとに、あるグループには、「まあ、8問正解よ。よくできたわ。頭がいいのね」と優秀さをほめる。別のグループには「まあ、8問正解よ。よくできたわ。頑張ったのね」と努力をほめる。このほめたあとから、両グループの間に学力の差が出始める。優秀さをほめられたグループは、新しい問題にチャレンジするのを避けるようになる。ボロを出して自分の能力が疑われるリスクをとらなくなる。努力をほめられたグループは、より学べるチャンスを求め、新しい問題にチャレンジするようになる。

また、難問をだすと前者は頭がよくないと感じ、後者はもっと頑張らないとと思い、失敗とも、頭が悪いとも考えなかった。

キャロル・S・ドゥエックは、2つのマインドセットの違いをくり返し、くり返し様々な実験や豊富な例を通して、平易に語りかけてゆく。とくに心理学の予備知識は必要はない。これから独学をする人、学校にいく人、新しい環境に進む人に勇気を与えてくれる。

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