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『みんなではじめるデザイン批評 目的達成のためのコラボレーション&コミュニケーション改善ガイド』

記事公開日:2016年07月20日

ブックガイド

原書はAdam Connor、Aaron Irizarry 『Discussing Design Improving Communication and Collaboration Through』(O'Reilly Media、2015)でオライリーの動物本シリーズである。

驚きとともに、過去のプロジェクト例を思い出しながら読み進めていった。反省することばかりである。自分がいままで受けてきたり、言ってきたフィードバックの多くが悪い例だったからだ。

デザインに関する会話は散々な結果を招くおそれがある。(中略)人々の意見は合わず、言い争いになり、チームのメンバーは次に何をすべきか確信がえられないままその場を去っていく。

苦いミーティングの思い出がよみがえる。みんなが自分こそが正しいと思っている。

逆に過去のフィードバックで機能した例を思い出すとまさに本書で述べられている批評型だった。個人の好みでもなく、具体的な修正指示でもなく、目的を考えるとレイアウトのこの部分が機能していないというようなフィードバックだった。

本書ではダメなフィードバックとして反応型と指示型があげられている。
「おいおい、ひそいもんだな」「気に入ったわ」が反応型、「ラジオボタンは全部ドロップダウンにするべきだったわね」が指示型。どちらもうっかり口にしてしまうし、よく受け取るフィードバックである。フィードバックのかわりに改善したデザイン案をデザイナーに送ってしまう場合があり、これも指示型になる。これは一番やってはいけないフィードバックである。

よいフィードバックとは、批評型である。「ユーザーが購入前に自分の銀行残高への影響をまじめに考えることが目的だとしたら............残高を一番下に、他のすべての数字を同じ大きさで表示するのは効果的ではありません。それでは他の情報に紛れてしまうからです」が批評型の例としてあげられている。

批評は、何かを見たときに即座に感じる反応でもなければ、よりよい問題解決のために誰かのデザインを変更しようとすることでもない。批評とは、批判的思考を用いて、デザインが望まれる目的を達成すると思われるどうかを判断する分析方法なのである。

著者は批評をうける側、する側は共通の基盤が必要だととく。ペルソナ、ユーザーシナリオ、目標、原則の4つを基盤にあげている。これらをクリエイティブ・ブリーフとして1枚の紙にまとめておく。このクリエイティブ・ブリーフがプロジェクトの北極星となり、すべての批評の基盤になる。

ではどうやって組織に導入するか。第5章、第6章にまとめられている。批評のルール作りや扱いにくい人の対処方法がまとめられている。デザイン批評はデザイナーだけでなく、全員参加型になる。フィードバックを言わない人への対処法なども解説されている。

制作現場のリーダー、ディレクター、プロデューサーは必読文献。反応型や指示型のフィードバックを受けることが多いデザイナーにもおすすめしたい。

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