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"私が「お店を持つんだ」、と決めたのは15歳。人生で初めてひとりで喫茶店に足を踏み入れたときでした"

記事公開日:2016年10月08日

ブックガイド 名言集

未来食堂ができるまで』(小林せかい著、小学館、2016年)からの引用です。小林さんは中学校3年生の学校の帰りのときに、どうしても小説の続きを読みたくて、一人で喫茶店にはいります。

その空間は、当時の自分にはとても衝撃的でした。そこには、家族の一員として存在する「家庭での自分」でもなく「学校での自分」でもない、「自分」そのままがあり、それを受け入れてくれた空間だったからです。

居心地のいい喫茶店や居酒屋があります。そこは肩書きも、年齢も、性別もフラットな世界で、自分を受け入れてくれる場所です。レイ・オルデンバーグが提唱したサード・プレイスに近い感覚かもしれません。

小林さんが以前在籍していたクックパッドでのエピソードも印象的です。社内には自由に料理ができる食材付きのキッチンがあります。ある日、ある社員がおしゃれなパスタをつくっていたそうです。しかしその傍に、忙しくてコンビニ弁当の人が多くいたそうです。

「わびしいな」と感じた小林さんは、「まかないランチ」を作ります。朝、豚汁などの大鍋料理を仕込んで、会議室を提供場所にしたそうです。評判をよび、みんなが集まる場所になります。社内にささやかなサードプレイスをつくったのです。

大学のときに学祭で出店したブックカフェもおもしろいです。そこでいまの旦那さんに出会います。独立のときに旦那さんが重要な役割を果たし、小林さんの弱みを埋めてくれます。

これらのエピソードは1章に収録されていて、小林さんの根本の想いが凝縮されています。

本書の2章目以降は、会社を辞めて、惣菜屋さんや外食チェーンで修行をしながら、神保町で12席の食堂を開くまでのブログ日記を書籍化した内容になっています。

食堂は、「まかない」「あつらえ」「ただめし」「さしいれ」などのユニークなシステムが話題を呼び、多くのメディアで未来食堂は紹介されます。本書でもWebでも売上や事業計画書がオープンに公開されています。減価率や想定回転率の設定、開店前からのPR活動など、これからお店を開きたい人に有益なヒントがつまった本になっています。

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