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Web制作会社は成長期の会社を選ぼう

記事公開日:2016年08月12日

就転職活動のすすめ方

将来独立を考えている人で経験を重視するのであれば、成長期の会社を選びたい。Web制作会社の成長期は、新規の立ち上げ案件が多い。この時期はすすんでリスクをとり、失敗を許容する文化があるので、制作未経験でも入社しやすく、仕事をまかせてもらいやすい。

独立に役に立つ経験は立ち上げ案件である。ヒアリング、サイト設計、デザイン、コーディング、システムまでトータルにかかわりたい。特に顧客との課題抽出や社内のスタッフとのコミュニケーションの経験が技術の習得以上に貴重な経験になる。

ふるさと納税のポータルサイトを運営しているトラストバンク社の須永さんの『考えぬく力』の中に、ITベンチャーに転職した話がでてくる。須永さんが独立する直前にいた会社である。実績がない状態でWebデザイナーで入社して、半年でディレクターになり、ゼロからECサイトの立ち上げ案件を指揮することになる。2年後、部長職に。3年の間に100以上のECサイト立ち上げを経験している。

これは通常の会社の3倍くらいの濃度の経験である。会社が成長期にあったことが大きい。

知人で現在は独立しているWeb制作者の人がいる。その人がかつて未経験で入社した会社は新人でもいきなり、立ち上げ案件の打ち合わせにいかされたという。成長期で新規の案件数が多い時期だった。そこは分業はなく案件の最初から最後まで担当する会社だった。新人だから未経験の仕事や失敗の連続だったという。でも経験を積むには絶好の現場だった。

ある建築事務所は4年で卒業するという制度をもっている。どんなに仕事ができて、会社からすれば残ってほしい人も4年で辞めてゆく。4年で独立できるようにトータルに経験を積ませるそうである。

Web制作会社のクライアントが増えてくると、更新や維持などの守りの仕事が多くなってくる。自社と同じポジションをとる競合がふえてきて、やがて新規の立ち上げ案件のペースは減り、既存のパイの奪い合いになる。よく言えばフロー型のビジネスからストック型のビジネスに移行する。売上は安定するが、現状維持か、ゆるやかな下り坂になる。

社内体制が安定してしまうと、分業の境界線がはっきりして制作の役割が固定化してしまう。衰退期の会社だと、たとえば5年在籍しても、ヒアリング、サイト設計、UIデザインを経験できないまま、コーディングだけを担当するような状況も珍しくない。安定を重視する人にはおすすめできる環境ではあるが。

業績は頭打ちになる。慎重になり、失敗を恐れる文化になってくる。変革志向の人はこの時期にはもうとっくに辞めていて、残った人は現状維持志向の人が残ってしまう。衰退期である。

本当は衰退期に入る前に変革をおこし、業務やサービスを見直して、新たな導入期に移る必要があるが、これが実行できる会社は少ない。

筆者は社歴15年を超えた制作会社にいた時期がある。まさに典型的な衰退期だった。成長期の頃は30人を超える社員がいて、新規案件を毎月のようにやっていた。いまは、社員は数人だけに減り、過去獲得したクライアントの保守の仕事が中心になっている。

使っている技術が古く、新規採用もないので残った人は社歴が長い。新しいやり方を提案しても拒否されてしまう。というより新しいものに挑戦したり、勉強する気はまったくない。給料があがらないことを知っているから、頑張らないのだ。

当時、繁忙期でさえも残業はほとんどなかった。ラクだが、こういう現場だと経験がつめなくなってしまう。若い人にはおすすめしにくい。筆者のようなベテランでも仕事にハリがないのはつらかった。

会社が人を雇うのは投資である。ただ逆に雇われる側も貴重な時間を投資してお金や経験をえる。新しい仕事をまかせてもらえ、新しいことが提案できるチャンスの多い成長期を選びたい。

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