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"パーム・パイロットが成功したのは、「何ができるかよりも、何ができないかで定義されていたからだ」"

記事公開日:2016年09月02日

名言集

チップ・ハース+ダン・ハース著『アイデアのちから』からの引用です。本書は記憶に焼きつくアイデアの共通属性を整理した本で、第1章の「単純明快である」という記述のなかでパーム・パイロットの開発の話が紹介されています。

技術や製品の開発プロジェクトは「機能のつめこみ」との戦いだ。「機能のつめこみ」とは、技術や製品が複雑化して、当初意図した機能を果たせなくなってしまうことだ。「機能のつめこみ」の過程は善意に満ちている。(中略)技術者にすれば、気のきいた機能を追加してリモコンを改良し、役に立ちたいだけだ。
1994年当時に販売されていたあるPDAは、発達不良のコンピューターのようだった。大きくてかさばる本体に、キーボードだの周辺機器用のマルチポートだのがついている。パーム・パイロット開発チームのリーダー、ジェフ・ホーキンスは、自分の製品はこんなふうにしないと決意した。(中略)機能は四つ。カレンダー、電話帳、メモ、それに作業リストだ。四つのことしかできないが、その四つをきちんとこなす、そんな製品にしたかった。

ホーキンスは、機能のつめこみと戦うために、パームと同じサイズの小さな木片を持ち歩きます。この木片に紙をはりつけて、メモをとったり、予定表をチェックしたりなどの動作をおこなってゆく。また機能の追加の提案があるたびに木片をみせて、追加の余地がないことを説得していきます。木片をみるたびに限られた機能をきちんと果たすことを思い出す。

冒頭の言葉は、パームVの設計デザインチームの一員、トライ・バサロの言葉です。

パーム・パイロットが成功したのは、「何ができるかよりも、何ができないかで定義されていたからだ」と、バサロは言う。シリコンバレーの有名デザイン会社、IDEOのトム・ケリーも、同じことを指摘する。「初期のPDAがうまくいかなかった本当の理由は......PDAは万能でなくてはならないという考え方だった」

最近著者は電気ポッドを買いかえました。以前つかっていた海外のメーカーのものは機能を限定させて、余計なボタンをつけません。そのかわり、手順がシンプルで失敗もありません。
一方で今回買った日本のメーカーのものは機能を増やしてしまい、余計なボタンが増えています。具体的にはロックボタンが増えました。しかし、このボタンのおかげて火傷をやけどをおってしまいました。機能を増やすと、注意事項が増え、使い方は複雑になります。「機能のつめこみ」は善意に満ちているため、止めにくいのです。本書『アイデアのちから』でもボタンが多すぎるリモコンの例をだし「ゆっくりと静かに死へと向かう」と表現しています。

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